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 がん患者の血液中を流れ、転移の原因となる微量のがん細胞を生きた状態で効率良く捕らえる微細な「網」が開発された。理化学研究所と米カリフォルニア大の研究チームが31日までに、ドイツの科学誌アドバンスト・マテリアルズ電子版に発表した。実用化されれば、血液検査でがんの転移を早期に発見したり、治療後の経過を観察したりできる可能性がある。
 血液やリンパ液中を流れるがん細胞は「循環腫瘍細胞」と呼ばれ、がんが最初にできた場所から流れて一部が転移の原因となる。米国で検査技術が実用化されたが、より簡単で精度が高い技術が求められている。
 カリフォルニア大チームはこれまでに、循環腫瘍細胞を捕らえる抗体物質を微細な剣山状のシリコンに付着させた「網」を開発したが、分析のため細胞を生きた状態で網から分離することが難しかった。
 理研の尤嘯華独立主幹研究員らは、抗体物質とシリコンの間に、温度により伸縮する素材を挟み改良。健康な人の血液1ミリリットルに循環腫瘍細胞を10~1000個加えたサンプルで改良した網を試した結果、体温の37度で循環腫瘍細胞を7割捕らえ、その後4度に冷却すると、このうち9割を生きた状態で分離できた。