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いちご(株)【2337】の掲示板 〜2015/04/08

日本で高まる金の需要、アベノミクスで世界に逆行
2013年 04月 17日

[東京 17日 ロイター] 世界的に価格が下落しているにもかかわらず、日本の個人投資家の間で金の人気が高まっている。

大胆な金融緩和と財政支出で景気浮揚を狙う「アベノミクス」で円安が一段と進み、円建ての金価格に先高感が広がる一方、日本の財政が将来的に破たんするかもしれないとの懸念から、安全資産に資金を移そうという心理も働いている。

<08年後半から2倍に>

予想以上に弱い中国の成長率や、米ボストンの爆破事件でマーケットの地合いがリスク回避に傾いた15日、ニューヨーク市場では金の価格が9%下落した。翌朝、そのニュースを見た都内の男性は(63)は銀座へ出向き、20年ぶりに金を買った。

金という商品は価格変動が激しい。この男性を含め、世界的に下落傾向にある金市場で逆張りする日本の個人投資家はそれを十分に認識しているが、それでも有望な投資先と考えている。約20年続くデフレからの脱却を目指す安倍政権の経済政策が、円の価値を下落させる一方、株式市場の活況もいつまでも続かないとみているためだ。

「銀行に預けておいてもほとんど利息を生まない」。そう話す男性はこの日、家を売った資金の一部で50万円弱の金貨を2枚買った。「株はばかみたいに上昇しているが、(朝鮮半島で)戦争不安もある。買える範囲で買っておこうと思った」。

昨年10月から下落傾向にある金の価格は、今年に入って20%下落した。しかし、円安が進む日本では先週、円建ての金価格が過去最高値に迫った。市況が最も落ち込んだ2008年後半に円建てで金を買った投資家にとって、今は価値が2倍以上に膨らんだ。対照的に、ドル建てで買った投資家の利幅は46%に過ぎない。

<アベノミクスをヘッジ>

金に向かう個人投資家の中には、国内総生産(GDP)の2倍以上の債務を抱える日本の財政が、「アベノミクス」で危機的な状況に陥る可能性を懸念する向きもある。「金を買っている人は、アベノミクスが引き起こす円安と物価上昇、財政破綻を懸念している」と、田中貴金属工業の原田和佳子・貴金属部長は言う。「円資産の劣化は避けられないということで、ヘッジをしたいとして来店する」。

安倍政権の経済政策に反応し、日経平均株価は今年に入って27%ほど上昇した。しかし都内で年金生活を送るある女性(64)は、アベノミクス効果が長続きしないと感じている1人だ。彼女は先週、銀座で開催された金製品の展示会で、30万円分の24金製の金貨を3枚購入した。女性は紙袋に入った金貨を手に、「(株は)自分が働いていた会社の持ち株はあるし、ほかの銘柄は買おうとは思わない」と言う。「株は下がるときは大きく下げるし、今は(相場は)強いけど、どれだけ持つか分からない」。

<売れ筋は金の仏具>

スタンダードバンクの池水雄一・東京支店長によると、2─3年前に金の価格が上昇した際は、大量の現物売りが出たという。しかし、今回は様相が異なる。「下がったところは買ってきている。金融危機や、日本の財政状況を見て、円、債券や株なども不安だということから、発行体のリスクのないものとして、金に資金を振り向けている人が出ている」と、池水支店長は指摘する。

円建ての金価格が史上最高値に迫った先週、都内の貴金属店には高齢者を始め、使わなくなった金の指輪やネックレスを売る人の長い列ができた。しかし今週火曜日には状況が一変、買い手が売り手を大きく上回った。田中貴金属の銀座本店には、金を買う人々が列を作り、中には3時間待ちという人もいた。

田中貴金属からほど近いSGC銀座では、火曜午後だけで6キロ分の金製品が売れた。店から出てきた男性客(60)は、500グラムの金を220万円で購入したという。また、松坂屋銀座店で開催していた金製品の展示会でよく売れたのは、平均価格400万円の、仏具として使う18金製の鈴(りん)だった。「(客は)これらの金製品の仏具を家宝として購入していく」と、展示会の販売員は言う。「仮に家が火事になっても、形は変わっても金製品は金製品として残るので、価値をそのまま残すことができる」。