IDでもっと便利に新規取得

ログイン


ここから本文です

治験、在宅で問診・計測
シミックなど、リモート活用 新薬開発期間も短く
2020/6/27 2:00 朝刊 [有料会員限定]
新薬の臨床試験(治験)を遠隔で行う「在宅治験」が広がりそうだ。患者らが自宅で薬を服用し、医師が遠隔で問診したりデータを集めたりする。従来は通院し、院内で投薬や検査をしていた。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐとともに、新薬開発の期間短縮やコスト低減も狙う。


治験受託大手シミックグループとスタートアップのMICIN(マイシン、東京・千代田)は在宅治験を実現する「バーチャル治験システム」の提供を始めた。マイシンが提供しているオンライン診療システムを改良し、医療機関と患者を結ぶ。医師はビデオ通話で患者と問診し、副作用がないかなどを確認する。

システムに副作用の状態などのデータを入力すると、クラウド上の治験データベースに自動で反映できる。これまでは医療スタッフが手作業で入力する必要があった。システムの導入費用は製薬企業が支払う。治験の規模にもよるが数百万円からという。複数の製薬企業や治験受託企業が導入を検討している。

今後は対面と在宅を組み合わせた新しいやり方も登場しそうだ。

例えば、がん治療薬の治験では、患者はまず医療機関で医師から説明を聞き、内容に同意したうえで点滴薬の投与や飲み薬の処方などの治療を受ける。その後は月1回などのペースで通院して問診を受けるのが通例だ。飲み薬の服用や問診などは在宅への切り替えが可能だ。必要に応じて治験の参加者が血圧を測定したり、医師らが患者宅を訪れて採血したりすることも考えられる。


先行する海外勢

米医薬コンサルティングのIQVIAも年内に日本で在宅治験に参入する。外資系製薬企業と組んでサービスを始める。患者に腕時計型のウエアラブル機器を着けてもらい、血圧などのデータを計測するもようだ。米国では既に複数の在宅治験を実施しているという。

IQVIAは「治験にかかるコストを20~25%削減でき、期間も数割短縮できる」と試算する。治験参加者が通院する負担がなくなり、途中で治験をやめてしまうケースが減ったり、参加者を集めやすくなったりすることが背景にある。

海外は日本よりも先行している。スイスのノバルティスやフランスのサノフィは2017~18年に医療システムの米サイエンス37とそれぞれ提携し、在宅治験を実施。ノバルティスは頭痛や肝炎の分野で導入し、21年までに10件以上を実施する計画を掲げる。米ファイザーも治験の問診をオンラインにすることを選択肢の一つとしている。

遅れていた日本でも、日本製薬工業協会(製薬協)が新型コロナ前から在宅治験の勉強会を立ち上げ、情報収集している。オンライン診療の利用が規制緩和で広がったことも在宅治験を後押ししそうだ。武田薬品工業は治験薬を患者宅に配送する仕組みをつくったほか、デジタル技術を用いた治験の最適化にも取り組むとしている。アステラス製薬は自宅にいる治験参加者の健康状態を電話で把握するなどしている。