ここから本文です
816

xia***** 強く買いたい 6月22日 18:28

キース・へリングが活躍していた1980年代のアメリカは、日本の好景気とは裏腹に、インフレの激化と経済の混乱とともに治安が悪化し、まさに混沌とした社会でした。しかし反面ではアンディ・ウォーホールを筆頭にアメリカ現代美術が勢いを増していた時代でもありました。こうしたアメリカの「光と影」を背景にキース・ヘリングのアートは生まれました。へリングはストリート・アートから独特なビジュアルコミュニケーションを確立し、混沌とする社会へメッセージを投げかけたのです。
生涯を通して世界中で子どもたちとのワークショップや、壁画を含むパブリック・アート、ポスター・アート、そして社会的なプロジェクトにも力を注ぎました。当館でもエイズ・ウォークをはじめとするHIV/AIDS予防啓発のイベント、国際絵画コンクール、災害募金など、へリングの遺志を継承する活動を行っています。
2007年にここ八ヶ岳に設立した美術館は、大自然を融和し「混沌から希望へ」というテーマをもとに、日本の現代建築をリードする北川原温により設計されました。へリング作品の奥に潜む「人間が秘める狂気」や「生と死」に向き合うことのできる空間です。2015年には展示スペースが増設され、さらに大胆で鋭い感性の建築物となりました。あたかも「思考から離れて感性のみで生きる」という禅の思想をも包有するような空間で、キース・ヘリングの作品が今なお発する生命のエネルギーとメッセージを感じてくださることを願います。