証券口座は複数開設できる

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証券口座は、複数開設しても問題ありません。1つの証券会社で開設できる口座は1つまでですが、会社を分ければ複数の口座を所有できます。
口座開設の料金は、基本的に無料です。会社ごとの強みを生かして取引したい人や、口座を使い分けて取引を有利に進めたい人は、複数口座の利用を検討してみてください。ただし、複数の証券会社を利用した場合でも、NISA口座・iDeCo口座は1つまでしか開設できないので注意しましょう。
証券口座を複数持つ5つのメリット
証券口座を複数開設するメリットを詳しく見ていきましょう。証券口座の使い分けは、スムーズな資産運用につながるのでぜひ参考にしてみてください。
証券会社の強みを生かした取引ができる

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口座を複数開設することで、証券会社の強みを生かした取引ができます。運用方針に応じて、各証券会社のサービスを使い分けられることは大きなメリットといえるでしょう。
証券会社によって、取扱銘柄数や手数料の料金体系などに違いがあります。例えば、国内株式と米国株式に投資する場合は、それぞれのラインアップが充実している証券会社で口座開設しておくと、幅広い選択肢から投資対象を選択できるでしょう。メインで行う取引方法が複数ある場合は、取引方法に応じた手数料が最安の証券口座を開設し、使い分けることでお得に資産運用ができます。
ただし、いきなり多数の証券口座を開設すると、使い分けや管理が困難になることも。初心者の場合は、まず1〜2社に申込みをして、投資に慣れてから口座を増やすとよいでしょう。
IPO銘柄を購入できる確率が上がる

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複数口座を持っていれば、IPO銘柄を購入できる確率が上がります。
IPO銘柄とは、未上場企業が証券取引所に上場する際に売り出される新規公開株のこと。上場前のIPO銘柄を入手して上場後に売れば高確率で利益を見込めるため、人気が高く、抽選に当たらなければ購入できません。IPO銘柄の抽選方法は証券会社によって異なりますが、複数口座を開設して抽選機会を増やすことが当選確率の向上につながります。
自分に有利な抽選方法を選べる点も、複数口座を開設するメリットのひとつです。完全抽選の場合もあれば、預り資産額や過去にためたポイント数が影響する抽選もあります。証券会社によって、抽選方法に違いがあることも覚えておきましょう。
利用できるツールの種類が増える

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利用できるツールの種類が増えることもうれしいポイントです。多くの証券会社では、口座保有者向けの取引ツールや情報分析ツールを用意しています。
例えばSBI証券の口座を持っていれば、情報収集や発注をスピーディに行えて、操作性にも優れた取引ツール「HYPER SBI 2」が利用可能です。楽天証券では、事前に設定した条件に合致したときに自動で発注を行うアルゴ注文機能搭載の「MARKET SPEEDII」を利用できます。
使えるツールが増えれば、同じ商品に対して複数の予測を参考にしたり、取引対象に合わせてツールを使い分けたりできるので、効率よく分析・取引を進められるでしょう。
システムトラブルに対処しやすい

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複数口座の開設により、突発的なシステムトラブルに対処できることもメリットです。システムトラブルでひとつの口座が使用できなくなった場合も別の口座で取引できるため、取引タイミングを逃さずに済みます。
特に取引が活発化しているときは、サーバーに負荷がかかりシステムトラブルに繋がることも珍しくないので、複数口座を保有してリスクヘッジすることは重要です。公式のシステムメンテナンスによって、一時的にサービスが利用できなくなるケースもあるので、いつでも市況を確認したり、取引したりできる環境を整えておきましょう。
証券会社ごとの投資情報やセミナーを活用できる

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複数の証券口座を持つと、より多くの投資情報やセミナーを活用できる点がメリットです。多くの証券会社では、口座の開設者のみアクセスできるアナリストレポートやセミナーを提供しています。証券会社ごとの投資情報やセミナーを利用することで、1社では得られないさまざまな知見や学びが得られるでしょう。
例えば、複数のアナリストレポートをチェックすると、同一銘柄に対する複数の見解を把握できます。証券会社ごとの無料セミナーを利用すれば、投資に関するさまざまな情報を収集しやすくなり、知識を効率的に深められるでしょう。
証券口座を複数開設する3つのデメリット
証券口座の複数開設には、注意すべきデメリットもあります。後悔しないためにも、デメリットを理解したうえで口座開設を進めましょう。
証券口座が2つ以上あると管理が複雑になる

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一般的に複数の証券口座を持っていると、口座管理が複雑になりがちです。サービスごとのログインID・パスワードや収支状況など、扱う口座が増える分、把握しておくべき情報も多くなる点に注意してください。
例えば、トータルで収益が出ているのか損をしているのか、金融資産がいくらあるのか知りたいときも、すべての口座の運用成績を整理して合算しなくてはなりません。別途帳簿をつけておくなど、余計な手間がかかってしまうことを理解しておきましょう。
複数の口座間で損益通算するには確定申告が必要

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複数口座の保有者は「源泉徴収ありの特定口座」を利用していても、確定申告が必要な場合があります。
証券会社の口座には「源泉徴収ありの特定口座」「源泉徴収なしの特定口座」「一般口座」などの種類があり、源泉徴収ありの特定口座を利用している場合、証券会社が利用者に代わって納税してくれるため、基本的に確定申告は必要ありません。
ただし、特定口座間での損益通算は行われないため、確定申告しなければ税金が余計に引かれることも。損益通算とは、利益と損失を相殺する手続きのこと。例えば、A社で100万円の利益が出てB社で100万円の損失が出た場合、放置するとA社での収益100万円に対して課税されてしまいます。しかし確定申告をして損益通算すれば、収益は0円となり、税金を余計に支払う必要がありません。
なお、源泉徴収なしの特定口座または一般口座を選択した人は、投資利益が20万円未満などの一定の状況を除き、基本的に確定申告が必要です。
投資資金が分散する。取引タイミングを逃すおそれも

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複数口座の開設により、投資資金が分散する点にも要注意です。複数口座で投資を行うためには、資金も分割して入金しなければなりません。
もし投資対象の購入資金が不足した場合は、別の口座から資金を移す必要があります。手間がかかるうえ、資金を移動させる間に取引タイミングを逃してしまう可能性も否定できません。特に少額で投資を始める場合は、複数口座に分けると資金不足で取引しにくくなるので、まずは1つの口座で運用することをおすすめします。
複数の証券口座を上手に使い分けるコツ
複数の証券口座をうまく使い分けるには、証券会社ごとの強みをふまえてメリットが最大化されるように工夫しましょう。例えば、使い勝手のよい証券会社をメイン口座にし、サブ口座ではメイン口座の不足部分を補うのがおすすめです。
ここからは、複数の証券口座を上手に使い分けるコツを解説します。
メイン口座は使い勝手の良さを重視して選ぶ

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頻繁に利用するメイン口座は、使い勝手のよい証券会社を選びましょう。
例えば、SBI証券や楽天証券などの大手ネット証券は取扱商品が多く、手数料も安い傾向があります。投資信託のクレカ積立にも対応し、無料で使える取引ツールも充実しているので、多くの取引において使い勝手がよいでしょう。
メイン口座を選ぶ際は、手数料や取扱商品、取引ツール、投資情報など自分が重視するポイントを満たしているかチェックすることが大切です。優先順位の高い項目をより多く満たしている証券会社を選ぶと、失敗を防ぎやすくなります。
メイン口座で不足する部分をサブ口座で補おう

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サブ口座には、メイン口座で不足する部分を補える証券会社を選びましょう。メイン口座のデメリットを補える証券会社を選ぶことで、メイン・サブ両方のメリットを享受できます。
例えば、IPO投資がしたいものの、メイン口座のIPO銘柄数や主幹事実績が少ないのであれば、サブ口座はIPOの取扱実績を重視して選ぶのがおすすめです。メイン口座では物足りなさを感じる部分をサブ口座で補うようにすると、より希望に合った投資ができるでしょう。
証券口座の複数開設におすすめの組み合わせ
証券口座を複数開設する場合、異なる強みを持つ口座や使い分けで相乗効果を発揮する口座を選ぶと、それぞれの口座を有効活用しやすくなります。口座を複数開設する際におすすめの組み合わせを3パターン見ていきましょう。
ネット証券×対面証券|相談しながら売買はお得に行える

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複数開設する際は、ネット証券と対面証券の組み合わせがおすすめです。対面証券で担当者に相談しつつ、実際の売買を手数料の安いネット証券で行えば、資産運用の相談をしながらお得に取引できます。
例えば、SBI証券や楽天証券などの大手ネット証券は取引手数料が比較的安く、条件を満たせば国内株式の取引手数料が無料です。一方、野村證券やSMBC日興証券などの対面証券で各支店の口座を開設すれば、運用の相談をしたり、投資情報の提供が受けられたりします。
ちなみに、対面証券にはネット専用口座と各支店の口座の2種類がありますが、ネット専用口座は直接相談できないことがほとんどです。対面で相談したいのであれば、各支店の口座を開設しましょう。
なお、ネット証券と対面証券を組み合わせると、手間をかけずにIPOの当選確率を上げることも可能です。なかには事前入金なしでIPOに応募できる証券会社もあるため、入金の手間をかけずに応募する金融機関を増やせます。
SBI証券×マネックス証券|IPO銘柄を購入したい人におすすめ

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IPO銘柄の購入を予定している人は、SBI証券とマネックス証券の組み合わせをおすすめします。
SBI証券のIPO銘柄取扱実績は業界トップクラスです。ただし、配分予定数量の60%は公正な抽選で当選者が決まるものの、10%は取引状況などをふまえて会社が配分先を決定します。残りの30%は、過去の落選回数が多い人に優先的に配分される仕組みです。取引状況や過去の抽選状況によっては、当選確率が減ってしまうこともあるでしょう。
一方マネックス証券では、配分予定数量の100%が抽選で公正に配分されます。過去の取引状況に自信がない人は、誰にでも平等にチャンスがあるマネックス証券の併用を検討してみてください。
楽天証券×松井証券|場所を問わず情報収集・分析ができる

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どこでも快適に情報収集・分析をしたい人には、楽天証券と松井証券の組み合わせが向いています。楽天証券は出先でも使えるアプリで情報収集をしやすい点がメリット。一方の松井証券は、パソコン用ツールで情報収集・分析をしやすい点が特徴です。
楽天証券の株アプリ「iSPEED」は情報がタイル形式になっていて見やすく、日本経済新聞などが閲覧できる「日経テレコン」も無料で利用できます。株アプリでさまざまな情報を閲覧できるため、出先でも情報収集がしやすいでしょう。
一方、松井証券は高機能なパソコン用ツールを利用可能です。プロトレーダーと同等の環境を再現する「ネットストック・ハイスピード」や、企業の業績に加えて機関投資家の動向もキャッチできる「マーケットラボ」などが用意されています。腰を据えてじっくり情報収集・分析がしたいときにおすすめです。
取引手数料は楽天証券のほうが安いため、松井証券は情報収集用として活用しながら、実際の取引は楽天証券で行うとよいでしょう。
証券口座の複数開設についてよくある質問
複数の証券口座を開設しようとしている人のなかには、NISA口座は複数作れるのかなどの疑問がある人もいるでしょう。ここからは、証券口座の複数開設に関する質問を解説します。
NISA口座も複数開設できる?

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NISA口座は複数開設できません。NISA口座を開設する際には税務署のチェックを受ける必要があります。複数の金融機関で口座開設の申込みをしても、税務署で認められるのは1人あたり1口座です。
なお、NISAでは成長投資枠とつみたて投資枠を併用できますが、それぞれを別の金融機関で利用することはできません。成長投資枠とつみたて投資枠を利用できるのは、同一の金融機関のみです。
NISA口座の金融機関は、1年に1回であれば変更できます。金融機関を変更する際は、変更前と変更後の金融機関でそれぞれ手続きが必要です。
複数の証券会社で同じ銘柄を購入すると株主優待はどうなる?

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複数の証券口座で同じ銘柄を購入しても、株主優待を複数もらうことはできません。
株主優待の有無や内容は、株主名簿に記載された保有株数などに応じて決められるのが一般的です。株主名簿では、同一銘柄の株式を複数の証券口座で保有している場合に、同一人物を特定して保有株数をまとめる名寄せが行われます。証券会社ごとに同一銘柄を保有しても、株主優待の数が増えるわけではないので注意しましょう。
ちなみに、保有株数によって優待内容が異なるケースでは、合算した保有株数に対応する優待を受取れます。例えばA証券で200株、B証券で300株保有している場合、500株に相当する優待を受取ることが可能です。
どこで証券口座を開設するか迷ったらランキングをチェック!
証券口座の複数開設によって、資産運用を有利に進められる可能性があります。これから投資を始める人や、投資に慣れてきて口座を増やそうと考えている人は、各社の強みを理解したうえで自分に合った証券口座を開設しましょう。
以下のページでは、さまざまな証券会社をランキング形式で紹介しています。条件を指定して証券会社を絞り込むこともできるので、口座の開設先に悩んだときの参考にしてみてください。