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小規模企業共済とiDeCoはどっちが得? 掛金上限の違いや併用時のシミュレーションも紹介

小規模企業共済とiDeCoはどっちが得? 掛金上限の違いや併用時のシミュレーションも紹介

出典元:Getty Images

個人事業主や小規模企業の経営者などが、節税しながら資産形成できる小規模企業共済とiDeCo。加入を検討しているものの、「結局どっちが得なのか」「併用したほうがいいのか」と迷っている人も多いのではないでしょうか。

本ページでは、小規模企業共済とiDeCo(個人型確定拠出年金・イデコ)の違いを詳しく解説します。受取り方や加入の優先順位、併用すべきかどうかも紹介するので、小規模企業共済やiDeCoへの加入を踏みとどまっている人はぜひ最後までチェックしてみてください。

ファイナンシャル・プランナー/伊藤亮太FP事務所代表

監修者伊藤亮太外部サイト

伊藤亮太FP事務所代表、スキラージャパン株式会社代表取締役。ファイナンシャル・プランナーとして、年間平均約100~200件の相談(資産運用、相続、保険の見直し、住宅ローンなどのローン相談等)を行うほか、証券外務員やFP資格取得講師、金融経済情勢、富裕層顧客開拓スキル、ドクターマーケット開拓、年金、四季報活用講座などの研修講師を行う。

元銀行員/mybest 金融サービス情報コンテンツ担当

制作者大島凱斗

元銀行員として、法人顧客の経営支援・融資商品の提案、個人顧客の資産運用相談業務を担当。現在は日本最大級の商品比較サービスmybestにて金融・サービス商材の情報提供コンテンツを統括している。

小規模企業共済とiDeCoはどのような制度?

はじめに、小規模企業共済とiDeCo(イデコ)がそれぞれどのような制度なのかを解説します。加入の申込みを検討している会社役員や経営者、個人事業主の人は、まず各制度の特徴を知っておきましょう。

小規模企業共済は任意加入の退職金制度

小規模企業共済は任意加入の退職金制度

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小規模企業共済は、自営業者(個人事業主)や小規模企業の経営者・役員が、退職・廃業時のために積み立てる任意加入の退職金制度です。国の機関である独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営しています。

掛金は全額所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象で、解約時に掛金と運用益を受取れるのが特徴です。

小規模企業共済の加入者は、2024年度末時点で約169万人。節税効果だけでなく、貸付制度を利用できるメリットなどもあるので、多くの自営業者や経営者が活用しています。

※参考:独立行政法人中小企業基盤整備機構「現況」(外部サイト)

iDeCoは公的年金に上乗せできる私的年金制度

iDeCoは公的年金に上乗せできる私的年金制度

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iDeCoは、国民年金・厚生年金の公的年金に上乗せして給付を受けられる私的年金制度のひとつです。

掛金は全額所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象となり、運用益も非課税で受取れます。最終的な資産は、60歳以降に一時金か年金、または一時金と年金を併用するかたちで受取りが可能です。

iDeCoの運営は、国民年金基金連合会が主体となって行っています。加入者数は2025年11月末時点で約380万人。当月の新規加入者数も約3万人と、幅広く利用されている制度といえるでしょう。

参考:iDeCo公式サイト「業務状況|加入者数等について」(外部サイト)

小規模企業共済とiDeCoの違いとは? 6項目を比較

次に、小規模企業共済とiDeCoの違いを詳しく解説します。どちらを選択するか、併用するかを判断する際の重要なポイントなので、ぜひ覚えておきましょう。

加入対象|原則誰でも加入できるのはiDeCo

加入対象|原則誰でも加入できるのはiDeCo

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iDeCoは原則誰でも加入できますが、小規模企業共済は加入できる人が限定されています。

iDeCoは20歳以上65歳未満の国民年金加入者・任意加入者であれば、基本的に誰でも加入が可能です。ただし、自営業者などの第1号被保険者の場合、国民年金の納付を免除されている人や、農業者年金の被保険者などは加入できません。

小規模企業共済に加入できるのは、小規模企業の経営者・役員、自営業者(個人事業主)に限られています。会社の業態によって加入資格の有無が細かく分かれているので、詳しくは小規模企業共済の公式サイト(外部サイト)を確認してみてください。

掛金上限額|小規模企業共済のほうが自由度は高い

掛金上限額|小規模企業共済のほうが自由度は高い

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iDeCoと小規模企業共済では、毎月の掛金上限額が異なります。iDeCoより小規模企業共済のほうが掛金を幅広く自由に設定できるほか、支払い方法も豊富です。

小規模企業共済の掛金上限額は、一律で毎月70,000円に設定されています。1,000円から70,000円までの範囲であれば、500円単位で掛金の設定が可能です。また、払込方法は月払い、半年払い、年払いの3つ。翌月以降の掛金を前納すると、掛金額と前納月数に応じて前納減額金を受取れる制度もあります。

iDeCoの掛金上限額は、公的年金の被保険者種別や勤務先の企業年金制度などによって変動する仕組みです。最も多く拠出できるのは、自営業者などの第1号被保険者で月68,000円。会社役員などの第2号被保険者の上限額は、勤務先の年金制度によって20,000円か23,000円のいずれかに分けられます。

※2027年1月以降は、第1号被保険者の上限額が75,000円に、第2号被保険者の上限額が62,000円に引き上げられる予定です。

なお、iDeCoの掛金設定は5,000円から1,000円単位です。掛金の支払い方法は月払い・年払いから選べますが、小規模企業共済のような半年払いはありません。

※参考:財務省「「令和7年度税制改正」(令和7年3月発行)」(外部サイト)

手数料|コスト負担はiDeCoのほうが多い

手数料|コスト負担はiDeCoのほうが多い

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iDeCoは運用手数料がかかりますが、小規模企業共済で支払うのは掛金のみです。

iDeCoでは、加入時や企業型確定拠出年金からの移換時に2,829円、掛金の納付ごとに105円、口座を保有しているだけで毎月66円を支払わなければなりません。金融機関によっては、運営管理手数料が別途必要です。給付金を受取る際にも、1回の振込みごとに給付事務手数料440円が差し引かれます。

小規模企業共済では、加入してから資産を受取るまでに掛金以外の支出は発生しません。コスト面を比較すると、iDeCoよりも小規模企業共済のほうが負担を抑えやすい制度だといえます。

iDeCoの手数料を詳しく知る

給付の確実性|iDeCoは元本割れや手数料負けに注意が必要

給付の確実性|iDeCoは元本割れや手数料負けに注意が必要

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将来受取れるお金の確実性は、小規模企業共済のほうが高いといえるでしょう。

小規模企業共済では掛金を6カ月以上納めると、月々の掛金や納付月数に応じて基本共済金を受取れます。36カ月以上納付すれば、付加共済金が上乗せされるのも特徴です。ただし、納付月数が6カ月未満の場合は掛け捨てとなり、共済金を受取れないので注意しましょう。

一方、iDeCoは保険や定期預金に代表される元本確保型と、投資信託の2種類から自分で商品を選んで運用する制度です。元本確保型は元本保証があるものの、期待できるリターンが小さい分、手数料負けのリスクに注意しなければいけません。投資信託なら大きなリターンも期待できますが、運用成績次第では元本割れする可能性があります

損失のリスクを抑えるには、長期投資や分散投資が有効です。金融商品の価値は一時的に下落しても再上昇するケースが多く見られるので、長期運用をしていれば損失を取り戻せる可能性があります。また、値動きの異なる商品に資産を分散していれば、いずれか1つの価格が下がっても、ほかの投資先で損失をカバーできるでしょう。

iDeCoの元本割れリスクと対処法を知る

途中解約|iDeCoは原則不可、小規模企業共済は可能

途中解約|iDeCoは原則不可、小規模企業共済は可能

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iDeCoは基本的に途中解約ができません。一方、小規模企業共済は途中解約が可能で、解約手当金を受取れます。

iDeCoは、原則60歳になるまで運用資産を引き出せない決まりです。例外として、加入者の死亡時や一定以上の障害状態になった場合には、60歳前でも死亡一時金や障害給付金を受取れます。そのほかのケースでも途中解約できる場合はありますが、厳しい条件を満たす必要があるため、基本的には難しいと考えておきましょう。

小規模企業共済は、任意のタイミングで途中解約が可能です。納付月数が12カ月未満の解約手当金は0円ですが、12カ月以上納付していれば、掛金合計額の80〜120%相当額を受取れます。ただし、納付月数240カ月(20年)未満での解約は、受取額が掛金の合計額以下になるので注意しましょう。

iDeCoの途中解約の条件を知る

貸付制度|iDeCoはなし、小規模企業共済は7種類から選べる

貸付制度|iDeCoはなし、小規模企業共済は7種類から選べる

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小規模企業共済では、事業資金の貸付制度を利用できます。iDeCoには貸付制度がないので、小規模企業共済を利用する大きなメリットといえるでしょう。

小規模企業共済の貸付制度は7種類あります。もしものときにも迅速に事業資金を借入れできる一般貸付制度、資金繰りが困難なときに低金利で借入れができる緊急経営安定貸付け、病気や災害時などに借入れができる傷病災害時貸付けなど、状況に応じた制度が用意されているのが特徴です。

貸付限度額は掛金の納付月数に応じて決まり、掛金の7〜9割まで借入れできます。また、貸付の種類によって借入可能額の範囲が変わる仕組みで、例えば一般貸付制度なら10万円以上2,000万円以内(5万円単位)です。

貸付手続きは登録した金融機関、または最寄りの商工組合中央金庫で行います。利率は2026年1月時点で、一般貸付けが年利1.5%、そのほかの貸付けが0.9%です。貸付制度ごとに貸付条件が異なるため、詳細は小規模企業共済の公式サイト(外部サイト)で確認してください。

iDeCoと小規模企業共済の共通点は?

iDeCoと小規模企業共済は、どちらも長期加入が前提の制度であるほか、掛金が所得控除の対象になる、受取り方を複数から選べるといった共通点もあります。効率的に資産を増やしていくための基本となる知識なので、ぜひ覚えておきましょう。

いずれも掛金を長期間納めることが前提

いずれも掛金を長期間納めることが前提

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iDeCoと小規模企業共済は、老後や退職後の備えを目的にした制度なので、いずれも掛金を長期間納めることが前提とされています。掛金を納める期間が長いほど、より大きなリターンを受取れる可能性があることを理解しておきましょう。

将来受取れる金額は、金融庁のつみたてシミュレーター(外部サイト)や、小規模企業共済公式サイト(外部サイト)などで試算できます。掛金や運用期間などを入力すれば結果がわかるので、一度試してみるとよいでしょう。

所得控除によって節税効果が期待できる

所得控除によって節税効果が期待できる

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iDeCoと小規模企業共済は、いずれも掛金が全額所得控除の対象です。拠出した分だけ課税所得を減らせるので、所得税と住民税の軽減につながります

例えば、課税所得500万円の自営業者がiDeCoに月68,000円を拠出した場合、目安として年間の所得税軽減額は163,200円、住民税軽減額は81,600円です。年間で見ると、合計で244,800円の節税効果が見込めます。

厚生年金に加入している会社役員の場合、iDeCoの掛金上限額は23,000円にとどまるため、節税メリットを感じにくいかもしれません。その場合でも、小規模企業共済なら最大70,000円まで拠出できるので、所得控除の恩恵を受けやすくなります

iDeCoと小規模企業共済には複数の受取り方がある

iDeCoと小規模企業共済には複数の受取り方がある

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iDeCoと小規模企業共済は、資金の受取り方を複数から選べます。いずれも運用の目的やライフプランに応じて柔軟に利用できるでしょう。

iDeCoで積み立てたお金は、一時金として75歳になるまでに一括で受取るか、年金(5年以上20年以下の期間)として受取るかを選択できます。金融機関によっては一部を一時金として受取り、残りを年金で受取ることも可能です。

小規模企業共済では、一括での受取り、分割での受取り、一括受取りと分割受取りの併用から選べます。分割、もしくは一括受取りと分割受取りの併用には一定の条件が定められているので、詳しく知りたい人は小規模企業共済公式サイト(外部サイト)をチェックしてみましょう。

iDeCoの受取り方を詳しく知る

iDeCoと小規模企業共済はどちらがお得?

老後資金をお得に積み立てられるiDeCoと小規模企業共済。ここからは、どちらを優先して加入するべきなのか解説します。選択に迷っている人は、ぜひ参考にしてみてください。

緊急事態に備えられる小規模企業共済を優先しよう

緊急事態に備えられる小規模企業共済を優先しよう

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iDeCoと小規模企業共済のどちらに加入するかで迷っている場合、まずは小規模企業共済を優先することをおすすめします。

小規模企業共済を利用する大きなメリットは、貸付制度を利用できることです。一般貸付けは審査不要で利用できるほか、条件を満たせば最短当日中にお金を借りられます。急に事業資金などが必要になったときにも迅速に対応できるでしょう。

また、iDeCoでは60歳まで積立金の引き出しが認められていませんが、小規模企業共済なら60歳未満でも、廃業時に共済金を受取れます。小規模企業共済には自営業者や小規模企業の経営者向けの魅力的な制度が備わっているので、少額からでも加入しておくとよいでしょう。

余裕があればiDeCoと小規模企業共済の併用も視野に

余裕があればiDeCoと小規模企業共済の併用も視野に

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拠出できる資金に余裕がある場合は、iDeCoと小規模企業共済の併用も検討してみてください。iDeCoと小規模企業共済の両方を活用すれば、高い節税効果が期待できるでしょう。

それぞれ掛金が全額所得控除の対象となりますが、拠出できる金額には上限があります。iDeCoの場合、自営業者であれば68,000円、厚生年金に加入している中小企業の会社役員であれば23,000円が上限です。一方、小規模企業共済は月70,000円まで拠出できます。これらを併用すれば、所得控除額を大幅に増やすことが可能です。

例えば、課税所得金額500万円の個人事業主がiDeCoと小規模企業共済を併用し、それぞれを満額まで毎月積み立てた場合の年間節税額の目安は、以下のとおりです。

  • iDeCo|所得税軽減額:163,200円、住民税軽減額:81,600円、合計244,800円
  • 小規模企業共済|所得税軽減額:171,600円、住民税軽減額:84,000円、合計255,600円
  • 併用した場合の合計の税負担軽減額|500,400円

なお、小規模企業共済では安全性を重視して債券を中心にしつつ、株式なども一部組み合わせた分散運用を行っています。一方のiDeCoでは、株式の割合が多い商品を選ぶことも可能です。両者を併用することで、安定的なリターンを確保しつつ、より積極的な運用が目指せるでしょう。

NISAや国民年金基金での資産形成も選択肢に入れよう

NISAや国民年金基金での資産形成も選択肢に入れよう

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自営業者(個人事業主)や小規模企業の経営者として働いているなら、NISAや国民年金基金での資産形成も検討しましょう。

NISAとは、投資で得られた利益を非課税で受取れる制度です。非課税期間は無期限で、つみたて投資枠・成長投資枠を併用すれば年間で最大360万円投資できます。

国民年金基金は、退職金や企業年金がない自営業者(個人事業主)などを対象とした制度です。国民年金に上乗せして老後資金を積み立てられるため、老後に備えてしっかりと資産形成したい人に適しています。

NISA、国民年金基金、iDeCo、小規模企業共済は、それぞれ任意の組み合わせで併用することも可能です。ただし、国民年金基金とiDeCoを併用する場合、掛金は合計で月額68,000円までなので注意しましょう。

NISAや国民年金基金について詳しく知りたい人は、以下のページもチェックしてみてください。それぞれの特徴やメリット、運用の際に注意したほうがいいポイントなども解説しています。

NISAについて詳しく知る

国民年金基金について詳しく知る

iDeCoへの加入を検討する場合は証券会社選びが重要

iDeCoへの加入を検討する場合は証券会社選びが重要

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iDeCoと小規模企業共済の違いをふまえてiDeCoへの加入を考えている人は、自分に合った証券会社を探してみましょう。どこがいいか迷ったときは、手数料の安さや取扱商品のラインアップを比較してみてください。

自分の求めるサービスを提供しているかどうかも大切な判断基準です。とくに初心者の場合は、コールセンターやチャット相談などのサポート体制にも注目しておくとよいでしょう。

証券会社選びで迷ったときは、以下のページもチェックしてみてください。各証券会社のサービス内容をわかりやすくまとめているので、iDeCo口座の開設先を検討する際に役立てられるはずです。

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著者

大島凱斗

mybest

元銀行員として、法人顧客の経営支援・融資商品の提案、個人顧客の資産運用相談業務を担当。現在は日本最大級の商品比較サービスmybestにて金融・サービス商材の情報提供コンテンツを統括している。

記事提供元: mybest

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