iDeCoの始め方を初心者にもわかりやすく解説
最初に、iDeCoの始め方を解説します。資産運用の初心者でも理解できる内容なので、ぜひ最後まで読み進めてみてください。
iDeCoへの加入資格があるか確認する
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まずは、iDeCoに加入できるかどうかを確認しましょう。iDeCoは、国民年金の被保険者であればほぼ全員加入できます。ただし、加入対象外となるケースもあるので、あらかじめ加入資格に有無を確認しておくことが大切です。
<iDeCoに加入できない人>
- 農業者年金の被保険者
- 国民年金の保険料について免除、一部免除している人(障害年金の受給者は除く)
- 企業型DC加入者で毎月拠出になっていない人
- 企業型DC加入者で月5万円を超えて拠出している人
- 企業型DCと企業型DB加入者で月2万2,500円を超えて拠出している人
- 企業型DCのマッチング拠出を利用している人
- 20歳未満、または65歳以上の人(会社員などの国民年金第2号被保険者を除く)
- 65歳未満で年金を繰り上げ受給している人
- 国民年金の保険料を払っていない海外在住者
加入資格があるかどうかは、iDeCoの公式サイト(外部サイト)から診断できます。自分が加入できるかわからない人は、一度試してみるとよいでしょう。
運用する金融商品を決める
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次に、運用する金融商品を決めましょう。商品ラインナップは金融機関によって異なるほか、口座開設後3カ月以上運用商品を設定しなかった場合、2週間以上の猶予期間が経過すると自動的に運用商品を決められてしまうため、事前に運用したい商品の目星をつけておく必要があります。
自分の運用方針や目標金額に応じたリスク・リターンの商品を選ぶことも大切です。運用する商品を決める前に金融庁の資産運用シミュレーション(外部サイト)で、目標金額に達するためにはどれくらいの運用利回りが必要か把握しておくとよいでしょう。
掛金を設定する出典元:Getty Images
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口座を開設する前に、毎月の掛金も決めておく必要があります。iDeCoの申込み時には、掛金の記載が必須です。iDeCoの掛金は5,000円から、1,000円単位で限度額まで指定できます。ただし、職業などによって掛金の上限額が異なるので注意しましょう。
<条件別iDeCo掛金の上限額>
- 第1号被保険者の自営業者や学生など:月68,000円
- 第2号被保険者の企業型DCや企業型DBのない会社員:月23,000円
- 第2号被保険者の企業型DCだけがある会社員:月20,000円
- 第2号被保険者の企業型DBのある会社員や公務員:月12,000円
- 第3号被保険者の専業主婦(主夫):月23,000円
企業型DCに加入していない人なら、年1回払いも可能です。掛金の変更は1年に1回しかできないので、無理のない金額を設定しましょう。
iDeCoの口座を開設する金融機関を選択
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次に、iDeCoの口座を開設する金融機関を選びましょう。iDeCoを取り扱っている金融機関は多数存在しますが、自分が口座を開設する先は1社しか選択できません。
金融機関に支払う運営管理手数料や取扱商品は、金融機関によって異なります。金融機関を選ぶ際は運営管理手数料が無料かどうか、運用したい商品の取り扱いがあるかどうかを事前に確認することが大切です。
投資の経験がない人は、サポート体制もチェックしておくことをおすすめします。不明な点が生じた際、気軽に相談できるサービスがあれば、ストレスなく資産運用に取り組めるはずです。
以下のページでは、iDeCo口座を開設できる証券会社をランキング形式で紹介しています。取引にかかる手数料など詳細な情報を掲載しているので、ぜひチェックしてみてください。
必要書類などを用意して加入手続きを行う
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口座を開設する金融機関が決まれば、申込み関係書類を取り寄せましょう。一般的には、金融機関の公式サイトや店舗窓口、コールセンターから請求できます。金融機関によってはWebで加入手続きを完結できる場合もあるので、書類での申込みが煩雑に感じられる人は利用を検討してみてください。
金融機関から関係書類が送られてきたら、必要事項を記載し、本人確認書類などを同封のうえ、返送しましょう。基礎年金番号がわかる書類や金融機関の届出印、口座情報が記載された預金通帳などを手元に用意しておくとスムーズです。会社員や公務員は、事業主の証明書も添付する必要があります。勤務先に申出て記載してもらいましょう。
記載事項に問題がなく、審査を通過すれば加入手続きは完了です。多くの場合、iDeCoの加入者サイトにログインするためのIDおよびパスワードが記載された書類が送付されます。
iDeCoの金融機関を選ぶ際のポイント
ここからは、iDeCoの金融機関を選ぶ際のポイントを解説します。
運用管理手数料が無料の金融機関を選ぶ
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金融機関を選ぶ際は、運用管理手数料の有無を確認しましょう。
iDeCoの運用には、さまざまな手数料が発生します。加入時や企業型DCなどからの移換時に2,829円、掛金を拠出するたびに105円、口座を保有し続けるだけでも月66円が必要です。
上記の手数料は一律に設定されていますが、金融機関に支払う運用管理手数料は金融機関によって金額が異なります。長く運用を続ければ、運営管理手数料が大きな負担になりかねないので、できるだけ無料の金融機関を選ぶことがポイントです。
サポート体制や学習コンテンツの充実度もチェック
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金融機関を選ぶ際は、サポート体制も確認してください。はじめて資産運用するときは、細かな疑問が生じることも少なくありません。電話相談窓口やチャットツールなど、疑問をすぐに解消できるサービスが提供されているかどうかは事前に調べておくことをおすすめします。
投資の知識が少ない人は、学習コンテンツの充実度もチェックしましょう。金融機関によっては動画コンテンツが用意されていたり、セミナーを開催していたりするところもあります。
取り扱っている金融商品が充実しているか確認しよう
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金融機関によって取り扱っている金融商品は異なります。自分が投資したい金融商品があるのかどうか、事前に確認することが大切です。
投資の知識が身についてくれば、さまざまな金融商品に興味が湧いてくることもあります。将来、幅広い選択肢のなかから投資対象を選べるように、金融商品の充実度もあわせてチェックしておくとよいでしょう。
iDeCoの金融商品を選ぶ際に意識することは?
次に、iDeCoの金融商品を選ぶ際に意識するべきポイントを解説します。
リスク許容度に応じた商品を選ぶ 出典元:Getty Images
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まずは、リスク許容度に応じた商品選びを心がけましょう。iDeCoは、大きくわけて元本確保型と投資信託の2種類があります。
元本確保型は、定期預金や保険などが代表的な例です。元本割れのリスクは投資信託より低いですが、大きなリターンは期待できず、手数料以上の収益が出ない可能性もあります。
投資信託は、投資家から集めた資金をもとに、プロが運用する金融商品のことです。運用成績次第では、大きな収益を期待できますが、元本割れのリスクがあることも理解しておきましょう。
年齢や運用の目的によって選択すべき銘柄は異なります。たとえば、20〜30代なら損失が生じても長期運用でカバーできる可能性があるので、投資信託で大きなリターンを狙うのも1つの方法です。50〜60代なら、低リスクでコツコツと利益を増やせる元本確保型をメインに選ぶとよいでしょう。
信託報酬を確認することも重要
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投資信託を運用する場合は、信託報酬を確認することも大切です。信託報酬とは、プロに運用を代行してもらうために必要な手数料で、商品を保有している限り支払い続けなければなりません。
iDeCoのような運用期間が長い制度では、信託報酬が数%違うだけでも、最終的な総資産が大きく変わることを覚えておきましょう。運用方針や構成する銘柄などが似ている投資信託でも、金融機関によって信託報酬に差があるケースもあります。信託報酬を確認する際は、加入を検討している金融機関同士で比較してみるのもよいでしょう。
iDeCoを始めるタイミングはなるべく早めがおすすめ
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iDeCoは、なるべく早く始めるのがおすすめです。運用期間は、長ければ長いほど収益を伸ばせる可能性は高くなります。iDeCoは掛金を拠出できる年齢が原則65歳まで、iDeCoで運用を続けられるのは75歳までと上限があるので、少額からでもまずは運用をスタートさせることが大切です。
iDeCoを始める際は、8月頃から口座の開設手続きに着手するとよいでしょう。口座開設には、一般的に1〜2カ月かかるため、着手が遅れると年末調整までに必要な書類を用意できない可能性があります。
iDeCoを始める前に知っておくべき注意点
iDeCoを始める前の注意点は3つあります。iDeCoを始める前に確認しておきましょう。
原則60歳まで引き出しできない出典元:Getty Images
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iDeCoで運用している資産は、原則60歳まで引き出せません。10年以上加入している人は60歳から受け取り可能ですが、60歳時点で確定拠出年金等の通算加入期間が10年に満たない場合は、61歳以降にしか出金できないので注意してください。
<加入期間ごとの受取可能年齢>
- 10年以上:60歳
- 8年以上10年未満:61歳
- 6年以上8年未満:62歳
- 4年以上6年未満:63歳
- 2年以上4年未満:64歳
- 1カ月以上2年未満:65歳
- 60歳以降に加入:加入してから5年後
iDeCoでは、結婚費用や教育資金、住宅の購入などでまとまった資金が必要なときでも、一切引き出すことができません。60歳より前に資金を引き出す可能性がある人は、つみたてNISAなどほかの資産運用を検討することをおすすめします。
運用成績によっては損失が出る可能性も
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iDeCoで投資信託を運用する場合は、運用成績次第で損失が出る可能性もあります。
損失が出るリスクを下げるには、長期投資を意識するとよいでしょう。金融商品の価格は一時的に下落しても、そのあとに再上昇することもあります。長期で運用すれば、短期的な価格変動に左右されず、価格が戻るのをじっくりと待てるのがメリットです。
分散投資もリスク軽減に有効な手段といえます。さまざまな商品に資金をわけて投資していれば、いずれかの価格が下落しても、ほかの投資先で損失をカバーできるでしょう。
iDeCoは手数料がかかるため、ほとんど利益が出なかった場合は手数料負けが起きることも理解しておきましょう。手数料負けを避けるためには、運用管理手数料がかからない金融機関や信託報酬が低い投資信託を選ぶことが大切です。
掛け金の上限額は加入資格の区分によって異なる
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掛金の上限額は、加入者の職業などによって異なります。先述の掛金の上限を理解したうえで、資産運用の計画を立てることが大切です。
特に、確定給付企業年金がある会社員や公務員は上限額が低めに設定されているため、つみたてNISAなどほかの運用方法との併用も検討するとよいでしょう。
課税所得がない場合は所得控除を受けられない
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課税所得がない人は、所得控除を受けられない点にも注意が必要です。iDeCoは掛金全額が所得控除の対象になりますが、課税所得がない専業主婦(夫)や課税所得が少ない自営業者などは、所得控除の恩恵を受けられません。
iDeCoは手数料がかかっても所得控除を上回る点で魅力はありますが、所得が少ない人はNISAやつみたてNISAのほうが向いている場合もあります。自分自身の現状やライフプランと照らしあわせて、自分に合う資産運用方法を考えることが大切です。つみたてNISAに興味がある人は、以下のページもチェックしてみてください。
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