ポートフォリオは金融商品の組み合わせのこと

出典元:Getty Images
ポートフォリオとは、株式や債券などの組み合わせのことです。資産運用を始める際は、各金融商品が資産の何割を占めるべきかを検討し、自分の運用方針に適したポートフォリオを作成する必要があります。
例えば、損失をできるだけ避けたい人が、値動きの激しい株式に100%投資するのは適切な資産運用とはいえません。資産運用の目的や許容できるリスクに応じて、どの金融商品をどのようなバランスで組み合わせるかを考えることが重要です。
適切なポートフォリオを組むことで、資産運用をするときに生じるさまざまなリスクを抑えやすくなります。値動きの異なる複数の商品に分散投資していれば、いずれかの1つの価格が下がっても、ほかの投資先で損失をカバーできるでしょう。ポートフォリオを作成する際は、各金融商品のリスクとリターンを見極めながら適切に組み合わせることが大切です。
iDeCoのポートフォリオの作り方
iDeCoのポートフォリオを作る際は、目標金額や必要な利回り、資産配分などを慎重に検討することが重要です。ここでは、作成後に見直したほうがいいポイントとあわせて詳しく解説します。
1.資産運用の目標を設定し、必要な利回りを計算する

出典元:Getty Images
iDeCoのポートフォリオを作る際は、まず予算や目標金額を設定しましょう。はじめに、iDeCoでいくらの老後資金を準備しなければいけないかを計算します。将来もらえる国民年金や厚生年金、退職金の見込額から算出してください。iDeCoの掛金を毎月どの程度拠出できるかもあわせて計算しましょう。
次に、目標金額と毎月の掛金、運用期間からどれくらいの利回りが必要なのかシミュレーションします。例えば、目標金額が1,000万円、掛金が毎月2万円、運用期間が23年の場合、必要な利回りはおよそ5%です。
金融機関によっては、条件を入力するだけで利回りを算出できるシミュレーションツールもあるので、効率的に資産運用をするためにもぜひ活用してみてください。
2.利回りとリスク許容度をもとに資産配分を決める

出典元:Getty Images
シミュレーションで計算した毎年の利回りやリスク許容度にもとづいて、資産配分を検討します。利回り5%の場合は、大きなリターンを狙える株式メインの投資信託を中心に構成する必要があるでしょう。
ただし、人によってリスク許容度は異なります。リスク許容度とは、価格の変動にどれだけ耐えられるかという度合いのこと。年齢や投資経験、iDeCo以外での老後資金、投資に対する考え方などによってリスク許容度は変わります。
例えば、年齢が高い、投資経験がないなどリスク許容度が低い人は、できる限り価格変動リスクの小さい債券などを中心に運用するほうがよいでしょう。
ポートフォリオを組む際は、リスクとリターンのバランスを把握しておくことも重要です。一般的にリターンが大きい商品はリスクが大きく、リターンが小さい商品はリスクも小さいとされています。
ハイリスクの資産を多めに保有すれば大きなリターンが期待できますが、急激な値下がりによって損失が膨らむことも。一方、リスクを最小限に抑えると、想定より資産を増やせない可能性があります。各金融商品の特徴を理解し、リスクとリターンのバランスもふまえて資産配分を決めましょう。
3.作ったポートフォリオを定期的に見直す
作成したポートフォリオは、定期的に見直すことが重要です。金融商品の価格はさまざまな要因によって変動するので、ポートフォリオを作成した当初と比べて価格のバランスが偏ることもあります。
年収やライフスタイルの変化によってリスク許容度が変わる可能性もあるため、年に1回など見直しのタイミングを決めておくとよいでしょう。ポートフォリオの変更方法には、配分変更とスイッチングの2つがあります。
配分変更

出典元:Getty Images
配分変更とは、掛金額を変えずに、購入する商品の割合を変更することです。例えば、商品A、B、Cに毎月10,000円ずつ投資していた状態から、商品Aに15,000円、Bに10,000円、Cに5,000円と投資額を変更することを指します。
配分変更を行えば、ライフステージや収支状況の変化に応じて、リターンとリスクの調整が可能です。ただし、配分変更は将来の資産運用に影響を与えるものであり、すでに積み立ててきた資産のリスク・リターンは変わらないことを理解しておきましょう。
掛金を拠出する前なら何度でも配分変更を行えるほか、一般的には手数料が発生することもありません。現状の配分が適切かどうか、定期的に検討する習慣を身につけておきましょう。
スイッチング

出典元:Getty Images
スイッチングとは、保有している商品を売却して、別の商品に乗り換えることです。例えば、商品A、B、Cを保有している場合に、商品Aを売却して、新たに商品Dを購入することを指します。
より低リスクでの運用に切り替えたい場合は、株式から債券中心の商品にスイッチングするのもよいでしょう。投資信託から元本確保型の商品にスイッチングすれば、その時点の利益を確定させられます。
スイッチング自体は基本的に無料で行えますが、売却する商品によっては、信託財産留保額が発生する場合があるので注意してください。信託財産留保額とは、投資信託を換金した場合に徴収される手数料のことです。
iDeCoの資産配分や運用商品を決めるときのポイント
iDeCoの資産配分や運用商品を決める際は、公的機関が作成したポートフォリオを参考にしたり、今後の値上がりが期待できる銘柄を選んだりするなどの工夫が大切です。ポートフォリオを組むときのポイントを解説するので、ぜひチェックしてみてください。
公的機関が考案したポートフォリオを参考にする

出典元:Getty Images
ポートフォリオの組み方に迷ったら、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が作成した基本ポートフォリオを参考にするとよいでしょう。GPIFは公的年金の積立金を管理・運用している公的機関であり、安定した収益を得るために長期・分散投資を基本としたポートフォリオを作成しています。
例えば、2020年4月1日から5年間のポートフォリオは、国内債券、外国債券、国内株式、外国株式が各25%ずつです。厚生労働省から伝えられた中期目標や、国内外の金利政策などをもとに決定されました。
GPIFの公式サイト(外部サイト)では、過去のポートフォリオや、それぞれのポートフォリオがどのような考え方をもとに決められたのかもチェックできます。資産の組み合わせ方がわからないという人は、ぜひ参考にしてみてください。
※参考:年金積立金管理運用独立行政法人「基本ポートフォリオの考え方」(外部サイト)
長期的な値上がりが期待できる銘柄を選ぶ

出典元:Getty Images
長期的な値上がりが期待できる銘柄を選ぶことも、ポートフォリオを組むときのコツです。長期投資はリスクを抑えやすいだけでなく、複利効果によって元本を効率的に増やせるメリットもあります。
例えば、先進国から新興国まで世界各国の株式に投資できる世界株式は、長期的な値上がりを期待しやすい資産です。経済状況などによる一時的な下落はあるものの、長期的な目線でいえば世界経済の成長とともに上昇を続けています。
さまざまな国の経済成長によって多くの利益を見込める世界株式は、iDeCoでの運用に適した資産だといえるでしょう。
株価指数や純資産残高なども要チェック

出典元:Getty Images
ポートフォリオを組むときは、株価指数や純資産残高もチェックしましょう。
株価指数とは、ある時点を基準とした株価の値動きを表す数値のこと。取引所全体や特定の銘柄群を長期的に評価するときに役立ちます。日経225(日経平均株価)やTOPIX(東証株価指数)、ニューヨーク・ダウなどが代表的です。
株価指数に注目すると、今後の経済の動向を把握しやすくなります。取引所単位だけでなく業種別の指数もあるため、興味のある業種グループの指数をチェックしてみるのもよいでしょう。
純資産残高とは、投資信託に組み入れられている金融商品の時価総額のこと。投資信託の規模を示しており、商品選びの判断材料として役立ちます。資金流入が多いファンドは純資産残高が増加しますが、運用が不調で資金が流出しているファンドは総資産残高も減少するのが特徴です。また、資産の価格変動によっても純資産総額は変動します。
総資産残高が一定の金額を下回ると繰上償還され、運用が止まってしまうことも。各ファンドの目論見書や月次報告書を確認し、こまめに純資産総額の状況をチェックしておくとよいでしょう。
投資信託を選ぶ際は手数料の安さを重視する

出典元:Getty Images
iDeCoの投資信託を選ぶ際は信託報酬の安さを重視しましょう。信託報酬とは、投資信託を管理・運用するプロに対して支払う手数料を指します。投資信託を保有している間は継続的に発生する費用なので、なるべく安いものを選ぶのが得策です。
市場全体よりも高い収益を狙うアクティブファンドと比べて、市場全体の動きとの連動を目指すインデックスファンドのほうが、信託報酬は安い傾向があります。比較的手数料の高いアクティブファンドに投資したいのであれば、コストに見合ったパフォーマンスが期待できるものを選びましょう。
【年代別】iDeCoのおすすめポートフォリオ
初心者はポートフォリオの作成を難しく感じるかもしれません。ここからは、年代別のiDeCoのおすすめポートフォリオを紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
20代のおすすめポートフォリオ|リスクを取った運用が基本

出典元:Getty Images
iDeCoは最長で75歳まで運用できるので、20代なら一時的に損失が生じても、会社からの給与やその後の運用で取り返せる可能性があります。一定のリスクはともないますが、大きなリターンを狙える株式中心の投資信託をメインで運用しましょう。
よほどリスク許容度が低い人でない限りは、外国株式を100%保有するのも選択肢のひとつです。外国株式は株式のなかでも値動きが激しいため、タイミング次第では資産を大幅に増やせます。どうしてもリスクを避けたい人は、全体の10〜20%までを元本確保型の商品で構成するのもよいでしょう。
30代のおすすめポートフォリオ|ライフステージに応じた運用を

出典元:Getty Images
30代になっても、基本的には20代から大きく投資方針を変える必要はありません。老後まで十分な期間があるので、投資で失敗しても十分巻き返せる可能性があります。
ただし、家族がいる場合はリスク許容度が低くなるため、全体の10〜30%程度は元本確保型で構成することも検討してください。iDeCoの掛金を減らして教育資金に充てるなど、ポートフォリオの変更以外の手段を考えることも必要です。ライフステージに変化がない場合は、株式中心の運用を継続することをおすすめします。
40代のおすすめポートフォリオ|少しずつ安定的な運用も意識する

出典元:Getty Images
40代からは、安定的な運用も少しずつ意識しなければない時期です。収入が頭打ちになり、人によっては子どもの進学なども控えているでしょう。iDeCoの資産が積み上がっているタイミングであるため、積極的な運用から安定的な運用にシフトする必要があります。
ある程度のリターンを狙って株式をメインで運用したい人も、元本確保型の商品を50%保有するなど徐々にリスクを減らしていきましょう。もう少し分散投資を実践したい人は、国内の債券や先進国の債券などを30%、外国株式を40%、元本確保型を30%で運用するのがおすすめです。
50代のおすすめポートフォリオ|将来の受給額を見通せる運用が重要

出典元:Getty Images
50代は、退職を控えてiDeCoの資産の受取りが近づく時期です。大きく資産を減らしてしまうと巻き返しが難しくなるため、将来の受給額が見通せる運用を心掛けましょう。
できる限り元本確保型や国内債券をメインに運用するなど、受取るときに絶対に減らしたくない資産は安定的な運用で確保してください。例えば、50%は元本確保型、20%は国内債券中心で運用して、残り30%は外国株式で運用するのがおすすめ。iDeCoの資産が十分でない人は、外国株式の割合をさらに減らすことも検討しましょう。
60代のおすすめポートフォリオ|基本的にはリスクを取らない

出典元:Getty Images
60代以降でiDeCoの運用を続ける場合は、できる限りリスクを取らない運用を心がけましょう。短期間でハイリスクの商品を運用すると、受取る金額が大幅に減少する可能性があります。
例えば、元本確保型を80%、残り20%は国内債券中心で運用してみてください。老後資金を十分確保できている人は、外国株式を10%程度取り入れるのもよいでしょう。
iDeCo初心者にはインデックス型・バランス型の投資信託がおすすめ
iDeCoでおすすめの投資信託には、インデックス型・バランス型の2種類があります。これからそれぞれの特徴を詳しく解説するので、運用する銘柄を検討中の人はぜひ参考にしてみてください。
インデックス型|値動きを把握しやすく、コストも低い

出典元:Getty Images
インデックス型の投資信託は、株価指数などの指標と連動した運用を目指すのが特徴で、インデックスファンドとも呼ばれます。
日経平均株価やダウ平均などの有名な指数と連動する投資信託であれば、初心者でも値動きを把握しやすいのがメリットです。投資信託の保有時に発生するコストも低く抑えられています。
インデックス型の投資信託は、比較的低リスクで運用できることも覚えておきましょう。ただし、積極的に利益を追求する商品ではないので、大きなリターンを期待するのは難しいといえます。ある程度リターンを求めつつ、コストを抑えて投資したい人におすすめです。
バランス型|複数の投資対象にバランスよく投資できる

出典元:Getty Images
バランス型の投資信託は、バランスファンドとも呼ばれます。株式や債券、不動産など複数の投資対象をバランスよく運用するのが特徴です。
バランス型の投資信託であれば、1つの商品を購入するだけで自動的に分散投資ができます。複数の商品を選ぶのが手間だと感じる人は、選択肢に入れておきましょう。ただし、インデックス型と比べて保有時のコストが高めに設定されている点には注意してください。
iDeCoのポートフォリオに関してよくあるQ&A
iDeCoのポートフォリオに関してよくある質問をまとめました。ポートフォリオを作る際の参考にしてみてください。
iDeCoのポートフォリオは株式だけでもいい?

出典元:Getty Images
iDeCoのポートフォリオは株式だけで作ることも可能です。特に20〜30代の若い世代は損失が生じても、会社からの給与やその後の運用によって取り戻せる可能性が高いため、比較的リスクの大きい株式を100%保有して、ハイリターンを狙うのも選択肢のひとつです。
ただし、家族がいる場合や40代以降の場合は、より低リスクで運用できるポートフォリオを意識する必要があります。債券や元本確保型の商品なども取り入れた、分散投資を検討しましょう。どうしても株式だけで資産運用がしたい場合も、外国株式と国内株式を適切に組み合わせて、リスクとリターンを調整することが重要です。
iDeCoのポートフォリオはNISAにも活用できる?

出典元:Getty Images
iDeCoのポートフォリオはNISAにも活用できますが、基本的には個々に検討することをおすすめします。それぞれの非課税投資枠などに応じたポートフォリオを作成しましょう。
例えば、老後まで積み立てられるiDeCoでは安定的な運用にして、積立期間が無期限のNISAでは積極的な運用にするのもひとつの考え方といえます。各ポートフォリオを作成する際は、資産全体に対する割合を確認しておくことも重要です。
iDeCoとNISAの併用におすすめのポートフォリオは?

出典元:Getty Images
iDeCoとNISAを併用する際は、資産のバランスが偏らないようにポートフォリオを作成しましょう。iDeCoとNISAはどちらも運用益を非課税で受取ることができ、長期投資に適した制度です。バランスのよいポートフォリオを組むことで、両者の強みを活かした効率的な資産運用が目指せます。
例えば、NISAでリスクが高めの外国株式を多く保有する場合、iDeCoではバランス型の投資信託を選ぶのもひとつの手です。すでにiDeCoで分散投資ができているため、万が一外国株式の価格が下がってもカバーしやすいといえます。
また、原則60歳までお金を引き出せないiDeCoとは異なり、NISAは好きなタイミングで引き出しが可能です。将来的に換金の必要性があるならNISAの投資額を多めにするなど、個々の状況に応じて併用のバランスを考えましょう。
iDeCoを始める際は証券会社を慎重に選ぼう

出典元:Getty Images
iDeCoは、口座を開設する証券会社によって選べる運用商品や手数料が異なります。場合によっては余計な手数料をとられたり、希望する商品を運用できなかったりすることもあるため、できるだけ手数料が安く、商品ラインアップが豊富な証券会社を選ぶことが大切です。
どの証券会社を選択していいのか迷ったときは、以下のページをチェックしてみてください。各証券会社のサービス内容をわかりやすく比較しているので、参考になるはずです。
