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iDeCoは元本割れのリスクがあるって本当? 元本確保型・元本変動型それぞれの対処法を解説

iDeCoは元本割れのリスクがあるって本当? 元本確保型・元本変動型それぞれの対処法を解説

出典元:Getty Images

公的年金とは別に任意で加入できる私的年金制度「iDeCo」。老後のためにiDeCoへの加入を検討しているものの、元本割れするケースもあると見聞きし、運用する上でリスクはないだろうかと不安に感じている人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、iDeCoの元本割れのリスクや対処法、事前にできる対策について解説します。さらに、元本割れを防ぐための運用のポイントも紹介。人生100年時代が到来し、老後の生活は昔と比べて長くなることが予想されます。老後を豊かに過ごすためにも、この記事を読んでiDeCo運用のコツをぜひ身に着けてくださいね。

1級FP技能士/内山FP総合事務所代表

監修者内山貴博外部サイト

証券会社勤務を経て2006年に独立。現在はライフプラン作成業務を中心に、セミナー・執筆・FP資格対策など幅広い活動を行っている。また、「FPとしてできることは何でも挑戦」することをモットーに、企業の経営サポートやグローバル展開など得意分野は多岐に渡る。

元銀行員/mybest 金融サービス情報コンテンツ担当

制作者大島凱斗

元銀行員として、法人顧客の経営支援・融資商品の提案、個人顧客の資産運用相談業務を担当。現在は日本最大級の商品比較サービスmybestにて金融・サービス商材の情報提供コンテンツを統括している。

iDeCoの運用商品には元本割れリスクがある? 

iDeCoには元本割れのリスクがあります。ただし、ひと口に元本割れと言っても、その要因は1つではありません。iDeCoは「元本変動型」「元本確保型」のタイプごとに元本割れする要因が異なるので、まずはそれぞれの特徴とリスクについて理解を深めていきましょう。

元本変動型の商品は元本が保証されていない

元本変動型の商品は元本が保証されていない

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iDeCoの元本変動型を選ぶ場合は、基本的に投資信託を購入することになります。投資信託とは、プロの投資家に運用を代行してもらい、その運用成果を投資額に応じて分けてもらう金融商品のこと。投資対象は株式や債券、不動産など価格変動のあるものなので、元本は保証されていません

そのときの市場環境や経済状況によって運用実績は左右されるため、金融危機などが起こった場合は、損失が大きくなってしまう可能性があります

しかし、リスクがある分、リターンも期待でき、運用が順調であれば大きな運用益を得ることも可能です。どの投資信託を購入するかにもよりますが、元本変動型はリスクをとってリターンを狙うタイプのiDeCo利用になるといえます。

元本確保型は元本保証あり。ただし手数料負けのリスクがある

元本確保型は元本保証あり。ただし手数料負けのリスクがある

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元本確保型は、原則として元本が保証されている商品のこと。自分が積み立てた金額と所定の利息を受け取ることができます。例えば、定期預金や保険商品などがこれに該当し、リスクが少ないのが特徴です。満期になるまで積み立てを続ければ、元本割れする可能性は基本的にありません

ただし、リスクが少ない分、大きなリターンも期待できないという点は押さえておく必要があります。とくに、低金利が続く現在は利益はほとんど得られません。まさにローリスク・ローリターンの商品といえます。

また、iDeCoで運用するにあたって手数料が発生する点にも注意が必要です。まず、加入・移換時手数料として2,829円を用意しなければなりません。その他にも、口座管理手数料や信託報酬、運営管理手数料などが発生します。

元本確保型は運用益が小さいので、管理に掛かる手数料のほうが上回ってしまい、結果的に元本割れの状態に陥るケースも想定されます。手数料負けしないよう、元本変動型と組み合わせるなどして、工夫しながら運用することが大切です。

iDeCoで元本割れしたらどうする? 知っておくべき対処法

元本割れしてしまう可能性はありますが、対処法を理解しておけば、リスクを極力抑えることができます。ここでは、効果的な対処法を3つ紹介します。

元本割れしても売却せずに運用を続けることが大切

元本割れしても売却せずに運用を続けることが大切

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金融商品の価値が下がって元本割れした場合でも、焦って売却することはやめたほうがよいでしょう。一時的に値下がりしているだけで、しばらくすると回復する可能性もあります。焦って売ってしまうと、価格が落ちたら売却するクセがつき、損し続けることになるかもしれません。

iDeCoは原則として60歳までお金を引き出せない、長期運用を前提とした制度です。不安になる気持ちもわかりますが、短期的な視野ではなく、長期的な目線で考えることが大切です。

また、長期運用によるメリットも大きいので、その点も理解しておきましょう。iDeCoは一定期間に一定額を投資する仕組みを採用しており、これは「ドルコスト平均法」という投資手法と同じです。ドルコスト平均法は、定期的に同じ額で金融商品を購入し続ける方法のことで、リスクの少ない投資手法と考えられています。

ドルコスト平均法では、同じ金額で投資するため、下落したときは多く買い、上昇したときは少なく買うことになります。上昇から下落に転じるときは損失を抑えることができ、逆に下落から上昇に転じたときは下落時にたくさん購入しているので、その分多くのリターンが得られるのです。

一度下落しても、待っていれば経済状況が回復して運用益が出ることもありますし、iDeCoは長期積み立てに有効なドルコスト平均法を採用しているため、長い目で見守るのも1つの手です。

iDeCoの資産配分を見直してみるのも手

iDeCoの資産配分を見直してみるのも手

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長期投資が前提のiDeCoですが、どうしても許容できないレベルまで元本割れが進んでしまった場合は、資産配分を見直して配分変更するという方法もあります。資産配分を再検討する際は、商品ごとのリターンとリスクを考慮しておくことが大切です。

iDeCoの投資信託では、「国内債券型」「外国債券型」「国内株式型」「外国株式型」の4つのなかから投資先を選ぶことになります。安定感を求めるなら、国内債券型がおすすめ。国の債券や国内企業の社債に投資するもので、リターンもリスクも小さいのが特徴です。

次にリスクが少ないのが、先進国の外国債券型。先進国の債券に投資するもので、国内債券に比べて高金利ということで魅力がありますが、国の情勢や為替レートの影響を受けるため、その分リスクは上がります。

iDeCoで取り扱いのある商品のなかでハイリスク・ハイリターンの考えで運用するなら、国内株式型や外国株式型などの株式を検討するのもよいでしょう。一般的に債券よりも株式のほうが値動きが激しいといわれており、大きなリターンが狙えるかもしれません。

なかでもリスクが高くリターンも大きいとされるのが外国株式型です。GAFAMなど世界的な大企業に投資して、うまくいけば大きな恩恵を受けることもできます。ただし、資産の価値は変動するので、どの程度の割合で購入するかについては、慎重な判断が必要です。

元本割れしている場合は、上記のなかからリスクのある商品の保有割合を減らしてみるのも1つの手です。例えば、最もリスクが大きいとされる外国株式型の保有割合を減らして、その代わりに最もリスクの少ない国内債券型の割合を増やすのもよいでしょう。

実際に資産配分を見直す場合は、「配分変更」と「スイッチング」という2つの方法のどちらかを選択することになります。配分変更やスイッチングについて、詳しく知りたい人は以下のページを参考にしてみてください。

iDeCoの配分変更・スイッチング方法をチェックする

許容できない損失が出たら元本確保型に切り替えよう

許容できない損失が出たら元本確保型に切り替えよう

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自分の許容範囲を超えてしまった場合は、元本確保型に切り替える選択肢もあります。投資信託に回している資産を一度売却し、定期預金や保険商品など元本確保型の商品の保有割合を増やすことで、損失を抑えることが可能です。

ただし、元本確保型にすると景気が上向いたときのリターンが得られなくなってしまいます。さらに、手数料は掛かり続けるので、運用益が少ない状況では先述の通り手数料負けする可能性もあります。

元本確保型に切り替えれば、今ある資産と気持ちは安定するかもしれません。しかし、基本的にiDeCoは資産形成のための制度なので、すべての資産を元本確保型へ切り替えることは極力避け、投資信託にも回すようにしましょう。

iDeCoの元本割れを防ぎたい! 事前にできる対策

そもそも元本割れを起こさないためにはどうすればよいのか気になっている人も多いはず。ここからは、元本割れを防ぐための対策法を紹介します。これから紹介する5つの対策法を知っておけば、元本割れのリスクを抑え、iDeCoで安心して資産形成できるようになるでしょう。

「長期・積立・分散」で値下がりリスクを回避する

「長期・積立・分散」で値下がりリスクを回避する

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iDeCoを運用を安定させたい場合は、「長期・積立・分散」の3つを意識することが大切です。長期投資を行うと、一時的に価格が下落した場合でも、じっくり待つことで景気の波が変わって価格が上昇し、利益を得られる可能性があります。継続して運用することで、複利効果を得やすいのもメリットの1つです。

積立投資は、毎月など決まった期間に一定額で商品を買い続けること。同じ金額しか使わないので、価格が下落したときは多く買い、価格が上昇したときは少なく買うことになります。

高いときに買いすぎたり、安いときに買わなかったりといったことがなく、定期的に定額買い続けるので平均購入単価を安く抑えることができます。淡々と同じ金額で購入し続けるため、一気に高額投資して大損するといったリスクも回避可能です。これは、先ほども紹介した「ドルコスト平均法」と同じ手法で、長期運用するほど強みを発揮するとされています。

分散投資は、資産を複数の投資先に分けて運用する方法のこと。資産の保有割合が1つの投資先に偏っていると、その商品が下落したときに、大きな損失を被ることになります。

株式と債券など種類の違うものを買ったり、国内や外国など地域が異なるものを組み合わせたりすることで、1つの商品が下落しても、全体としてバランスを維持することが可能です。

もともとiDeCoは60歳までお金を引き出すことができない長期積立を前提にしているものなので、長期運用で資産増加のメリットを受けやすくなっています。あとは分散投資の視点をしっかり持って金融商品を選べば、より効果的に元本割れを防ぐことができるでしょう。

必要な老後資金に応じた資産配分でリスクを最小限に

必要な老後資金に応じた資産配分でリスクを最小限に

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iDeCoを始める前に、老後資金がどの程度必要なのか、どの程度確保できそうなのか確認しておくことは大切です。一般的に老後は2,000万円が必要になると言われていますが、実際にいくら必要なのかは個々人の生活スタイルによって異なります。

自分の老後資金について事前にシミュレーションしておきましょう。まず、生活費を計算し、退職金や預貯金、年金などからどの程度カバーできそうかを算出。不足する金額がわかったら、そこからiDeCoを運用する際の掛金や利回りの目安を立てましょう。

明確な目標ができることで、iDeCoを運用する際の計画が立てやすくなり、余計に拠出したり、リスクのある商品を購入しすぎたりといった問題を回避することが可能です。自分で計算するのが難しい場合は、ファイナンシャルプランナーなど専門家に相談することをおすすめします。

「元本変動型+元本確保型」はリスクヘッジに有効

「元本変動型+元本確保型」はリスクヘッジに有効

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リスクを回避しながら、堅実に資産形成したいのであれば「元本変動型+元本確保型」での運用がおすすめです。

ここまでで紹介してきたように、元本変動型は元本割れのリスクがあるものの、その分リターンも期待でき、元本確保型は確実に積み立てられる反面、運用益が少ないという特徴があります。

上記2つを組み合わせて運用すれば、運用益の獲得と堅実な積み立ての両方のメリットを得ることができ、安全に資産形成を進めることが可能です。

また、元本変動型の運用で利益を得た後に、利益分を元本確保型にスイッチングすることで確実に運用益を確保するという運用もできます。

定期的な資産配分の見直しを忘れずに

定期的な資産配分の見直しを忘れずに

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iDeCoの運用を開始したら、年1回程度は資産配分を見直しておきましょう。というのも、購入した商品の価格が変動し、資産配分のバランスが変化していることがあるためです。

例えば、購入当初は商品A:商品B=50%:50%の割合で保有していたものが、経済状況の変化などから値動きが起こり、商品Aが値上がった結果、商品A:商品B=60%:40%の割合に変わってしまうことがあります。

全体のバランスが崩れている状態なので、リスク分散のためにも、当初の計画を遂行するためにも、資産配分を調整し直すことが重要です。これを「リバランス」と言います。リバランスを行うことで、リスクの偏りが減り、元本割れの防止にもつながりますよ

年齢やライフスタイルの変化に応じて、資産配分を再検討することも大切です。20代など若いときは運用期間が長く、高いリターンが期待できるので、積極的にリスクのある資産運用を行うこともできるでしょう。

しかし、50代になると運用期間が短くなりリカバリーすることが難しくなるため、株式を減らし債券を増やすといったリスクを抑えた運用が推奨されます。資産を増やすよりも資産を守るほうに軸足をシフトさせたほうがよいでしょう。

収入の増減があったときや、結婚などのライフイベントのときも、掛金や資産配分を見直すよいタイミングです。年齢や収入、ライフステージの変化が起きた際は、リスク許容度などが変わっていることもあるので、iDeCoの運用状況について一度確認してみることをおすすめします。

手数料が安い金融機関・商品を選ぶことも大切

手数料が安い金融機関・商品を選ぶことも大切

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上述のように、元本確保型は運用益が少ないため、手数料負けになる可能性があります。元本割れを引き起こさないよう、手数料が安い金融機関・商品を選ぶことも大切です。

加入・移換時手数料や口座管理手数料は、どの金融機関でも必ず発生します。加入・移換時手数料は2,829円、口座管理手数料については、拠出する場合は171円、拠出しない場合でも毎月66円は負担しなければなりません。

ただし、運営管理手数料は金融機関によって違いがあり、無料のところもあります。また、投資信託を保有する場合は毎月発生する信託報酬の金額も商品によって異なるので、注意が必要です。

元本割れを防ぐためにも、運営管理手数料の掛からない金融機関や、信託報酬の安い商品を扱っている金融機関を選ぶようにしましょう。手数料が安く済む金融機関を探している人は、以下のページをチェックしてみてください。人気の証券会社をランキング形式で紹介しているので、iDeCoを始める参考になるはずです。

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著者

大島凱斗

mybest

元銀行員として、法人顧客の経営支援・融資商品の提案、個人顧客の資産運用相談業務を担当。現在は日本最大級の商品比較サービスmybestにて金融・サービス商材の情報提供コンテンツを統括している。

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