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iDeCoの賢い受取り方は? かかる税金や退職所得控除の5年ルールについて解説

iDeCoの賢い受取り方は? かかる税金や退職所得控除の5年ルールについて解説

出典元:Getty Images

掛金の全額所得控除、運用益も非課税、さらには受取時にも税制優遇を受けられるiDeCo。iDeCoの加入を検討していながら、受取り時の節税メリットがよくわからない、どうやって受け取るのがお得なのか教えてほしいなど、さまざまな疑問を感じている人も多いはず。
ここでは、節税効果の高いiDeCoの受取り方法を解説します。控除の方法や納める税金のシミュレーションなども紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

1級FP技能士/内山FP総合事務所代表

監修者内山貴博外部サイト

証券会社勤務を経て2006年に独立。現在はライフプラン作成業務を中心に、セミナー・執筆・FP資格対策など幅広い活動を行っている。また、「FPとしてできることは何でも挑戦」することをモットーに、企業の経営サポートやグローバル展開など得意分野は多岐に渡る。

元銀行員/mybest 金融サービス情報コンテンツ担当

制作者大島凱斗

元銀行員として、法人顧客の経営支援・融資商品の提案、個人顧客の資産運用相談業務を担当。現在は日本最大級の商品比較サービスmybestにて金融・サービス商材の情報提供コンテンツを統括している。

iDeCoは受け取るときに税金がかかる

iDeCoは受け取るときに税金がかかる

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iDeCoで積み立てた資金を受け取る際は税金がかかります。税制優遇を受けられるものの、受取り方法やタイミングによって納税額は大きく変わります。事前にシミュレーションしたうえで、適切な受取り方を選択することが大切です。

特に、退職金がある会社員や公務員は、退職金とiDeCoの積立金をどう受け取るかによって、節税額が大きく変わることを覚えておきましょう。

iDeCoの受取り方は全部で3種類

iDeCoの受取り方法は、全部で3種類あります。自分の退職金や公的年金も確認しつつ、最もメリットの大きい受取り方法を選びましょう。

分割で受け取れる年金

分割で受け取れる年金

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年金で受け取る場合、積み立てた資産は指定した年数で分割されます。生活費の補てんに利用できるほか、受取りが終わるまでは残された資産を非課税で運用できるのがメリットといえるでしょう。ただし、iDeCo口座を保有し続ける限り、最低でも毎月66円の手数料が発生する点には注意が必要です。

受取期間は5〜20年、受取回数は年1〜12回まで選択できます。選択できる期間や回数は、証券会社によって異なるので注意しましょう。

iDeCoを年金として受け取る場合でも所得控除は適用できますが、ほかの所得と合算した総所得金額をベースに計算しなければなりません。iDeCoだけでなく公的年金などの収入も見込まれる場合は、高い税率をかけられるケースもあるでしょう。iDeCoや公的年金などを合わせた収入が、65歳未満で60万円以下、65歳以上で110万円以下の場合は、非課税で受け取れます。

一括で受け取れる一時金
一括で受け取れる一時金

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iDeCoの資産を一括で受取りたい場合は、一時金を選択しましょう。一時金は、まとまった資金を一度に得られるのがメリットです。

受取り時には、節税メリットの大きい退職所得控除が適用されます。ただし、退職金がある場合はiDeCoの一時金とどちらを先に受け取るか、いつ受け取るかによって十分な控除を受けられないこともあるので注意が必要です。

年金と一時金を組み合わせる

年金と一時金を組み合わせる

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年金と一時金は組み合わせることも可能です。一部を一時金として受取り、残った資産を年金として受け取れます

年金と一時金を併用して受け取るメリットは、iDeCoに適用される所得控除を計算しつつ、ライフスタイルに応じた資金を計画的に受け取れること。一方で、手続きが複雑になる点には注意しましょう。

iDeCoを年金として受け取る際にかかる税金

次に、iDeCoを年金として受け取る際にかかる税金を解説します。公的年金とあわせて計算する必要があるので、自身の状況と照らし合わせながら確認してみてください。

iDeCoを年金で受け取る場合は雑所得として計算する

iDeCoを年金で受け取る場合は雑所得として計算する

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iDeCoを年金で受け取る場合は、公的年金と同じ雑所得として計算します。雑所得とは、給与所得や利子配当所得などに分類できない所得のこと。iDeCoや公的年金、副業による所得が挙げられます。

iDeCoや公的年金による雑所得は、公的年金等控除の適用が可能です。公的年金等控除の額は収入や年齢によって計算が異なりますが、年金以外の所得が年間1,000万円以下の場合、65歳未満は年間60万円まで非課税、65歳以上は年間110万円までが非課税になります。雑所得の算出方法を詳しく知りたい人は、国税庁の公式サイト(外部サイト)で確認してみてください。

たとえば、65歳以上の独身で公的年金以外の所得がなく、公的年金やiDeCoの収入が年間240万円の場合、雑所得の金額は240万円-110万円=130万円。所得税率5%・住民税率10%を乗じると、納める所得税は65,000円、住民税は13万円と計算できます。

妻や夫などの扶養家族がいる場合は追加で扶養控除が適用されるため、税金はこれより安くなるでしょう。

年金での受取りはほかの収入があれば納税額が上がる可能性も

年金での受取りはほかの収入があれば納税額が上がる可能性も

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iDeCoを年金として受け取る場合、公的年金やほかの収入があると合算して税金を計算しなければならないため、納税額が上がる可能性もあります。

収入が多い人は現役並み所得者とみなされ、70歳以上になっても国民健康保険料が3割負担になる点にも注意が必要です。一般的に、現役並み所得者の目安は年収380万円程度とされています。iDeCoを年金で受け取るときは、事前に収入と納税額をシミュレーションしておきましょう。

iDeCoを一時金として受け取る際の税金

次に、iDeCoを一時金として受け取る際に生じる税金の計算方法を解説します。退職金とあわせて計算する必要があるので、しっかり確認しましょう。

iDeCoを一時金で受け取る場合は退職所得に該当

iDeCoを一時金で受け取る場合は退職所得に該当

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iDeCoを一時金で受け取る場合は退職所得に該当するため、退職所得控除を受けられます。退職所得控除は、iDeCoの加入年数によって適用される計算式が異なるので注意しましょう。

  • 加入年数20年以下:40万円×加入年数
  • 加入年数20年超:800万円+70万円×(加入年数-20年)

例えば、加入年数が25年の場合、退職所得控除は 800万円+(25年-20年)×70万円=1,150万円です。

次に、退職所得額を求めましょう。退職所得額の計算式は、(収入金額-退職所得控除額)×1/2。一時金が2,000万円の場合、退職所得額は(2,000万円-1,150万円)×1/2=425万円です。

上記のケースでは、所得税率20%・住民税率10%が適用されるため、所得税は425万円×20%=85万円、住民税は425万円×10%=42万5,000円と計算できます。

加入期間が30年以上の場合は退職所得控除が1,500万円となるため、1,500万円以下の一時金なら非課税で受け取れることも覚えておきましょう。

退職金と同時に受け取ると納める税金が増える可能性がある

退職金と同時に受け取ると納める税金が増える可能性がある

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退職金と同時にiDeCoを受け取ると、税金が増える可能性があります。受取り額は合算される一方で、加入年数は会社の勤務年数とiDeCoの加入期間のうち、控除額の大きいほうのみが適用されることを覚えておきましょう。

たとえば、38年勤務した会社の退職金1,500万円と、30年間積み立てたiDeCoの一時金1,500万円を同時に受け取った場合、税制上は加入年数38年、3,000万円の収入があったものとして計算されます。退職金だけを受け取るなら、退職所得控除によって退職所得は0円です。しかし、退職金とiDeCoを同時に受け取る場合は、470万円の退職所得が発生します。

まとまった金額の退職金がある人は、iDeCoの一時金を受け取る時期を工夫してみましょう。具体的な方法は後項で解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

iDeCoの受取りで損をしないポイント

iDeCoの受取りで損をしないポイントは2つあります。5年ルールと19年ルールを正しく理解して、節税効果を最大限活用しましょう。

退職所得控除の5年ルールを活用する

退職所得控除の5年ルールを活用する

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退職金がある人は、退職所得控除の5年ルールを活用しましょう。5年ルールとは、iDeCoの一時金と勤め先からの退職金を5年あけて受け取れば、退職所得控除を2回適用させられる仕組みのことです。

仮に4年以内にiDeCoと退職金を受け取った場合、iDeCoの加入期間と会社での勤続年数のうち、重複している期間分の退職所得控除は差し引いて計算しなければいけません。iDeCoの一時金を60歳で受取り、退職金は65歳に受け取るといった工夫をすることで、より高い節税効果が見込めるでしょう。

退職所得控除の19年ルールを理解する

退職所得控除の19年ルールを理解する

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勤め先からの退職金を受け取ってから、iDeCoの一時金を受け取るまでの期間を19年あけることも、節税効果を高める1つの方法です。19年以内にiDeCoの一時金を受け取ると、会社の勤務年数とiDeCoの加入期間の重複部分は退職所得控除額が適用されなくなります。

iDeCoは受給開始年齢を75歳まで延長できるため、会社からの退職金を55歳までに受け取れば、19年ルールを回避できるでしょう。退職金とiDeCoの一時金は、受け取る順番やタイミング次第で節税額が大きく変わるので、受取方法は早めに検討しておくことをおすすめします。

iDeCoの受取りにかかる税金を実際にシミュレーションしてみた! 

iDeCoの受取りにかかる税金を実際にシミュレーションしてみた! 

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iDeCoの受取り時にかかる税金をシミュレーションしてみました。運用利回りは3%、拠出額は月2万円、運用期間は30年、受取り時期は60歳と仮定します。受取り時の積立額は1,157万4,260円です。

一時金として受け取る場合、退職所得控除の適用によって1,157万4,260円を非課税で受け取れます。年金で10年間に分けて受け取る場合、受取り額は毎年111万5,620円、10年間で1,115万6,200円です。年金で受け取ると、418,060円の税金が生じる計算になります。

ただし、ほかに退職一時金や公的年金がある場合や、扶養親族がいる場合などは結果が異なるため、上記の例を目安にして、個々の状況に応じたシミュレーションを行うことが大切です。

結局iDeCoで節税効果が大きい受取り方法はどれ? 

iDeCoで節税効果が大きい受取り方法は、人によって異なります。ここからは、パターン別におすすめの受取り方法を解説するので、参考にしてみてください。

年金での受取りがおすすめな人

年金での受取りがおすすめな人

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会社の退職金だけで退職所得控除を大幅に超える人は、年金での受取りを選ぶとよいでしょう。一時金に適用される退職所得控除は控除額が大きいので節税効果も高いとされていますが、退職金やiDeCoの一時金が高額になると所得を十分に減らせないので、かえって税金が増える可能性もあります。

年金として受け取る場合、65歳以上の人ならiDeCoの年金と公的年金の合計が年間158万円以下(基礎控除48万円を含む)であれば、所得税は発生しません。受取り方法を検討する際は、iDeCoだけでなく、退職金の受取り額もあらかじめ確認しておくことが大切です。

一時金での受取りがおすすめな人

一時金での受取りがおすすめな人

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退職金が少ない人や退職金がない自営業者は、一時金での受取りがおすすめ。退職所得控除で大幅に課税所得を減らせるので、税金の負担を軽減できます。30年間積み立てた場合は、ほかの退職所得と合算して1,500万円まで非課税です。

自営業者や主婦などは、そもそも退職金がないので、iDeCoの一時金との合算によって退職者控除のメリットを受けられない心配もありません。

証券会社を比較検討するならランキングを参考に

iDeCoの商品ラインアップや手数料は証券会社ごとに異なります。できるだけ手数料が安く、自分が運用したい商品の取りそろえがある証券会社を選びましょう。どの証券会社を利用するかによって、将来受け取れる金額も変わるため、入念な下調べのうえで口座の開設先を決めることが重要です。

以下のページでは、おすすめの証券会社をランキング形式で紹介しています。自分にあった証券会社や人気の証券会社を知りたい人は、ぜひ参考にしてみてください。

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著者

大島凱斗

mybest

元銀行員として、法人顧客の経営支援・融資商品の提案、個人顧客の資産運用相談業務を担当。現在は日本最大級の商品比較サービスmybestにて金融・サービス商材の情報提供コンテンツを統括している。

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